虚血性心疾患以外の胸痛 その1

急性大動脈解離という疾患があります。高血圧が原因となることが多い疾患です。

急激に胸部や背部に引き裂かれるような痛みがあり、症状が強いため、救急外来での対応がほとんどです。解離が治まれば痛みも消えますが、引き続き命に関わるような合併症が発生する危険もあるので、とにかく病院でみてもらうことが大切です。

その痛みは、さらに大動脈にそって腹部までに及ぶこともあり、発症時の痛みが最も強く、その後も胸や背中の痛みが続く、という症状がよくみられ、そのほかの動脈への解離の影響で脳梗塞や、四肢の動脈の閉塞にもつながることもあります。

 

また、解離を起こした大動脈から血液が染み出て心膜内に血液が溜まり心臓を圧迫して血圧が出なくなる心タンポナーデが起きるとショック状態となります。解離が心臓の出口の大動脈弁までおよび弁の構造を破壊したときは、急性大動脈弁閉鎖不全から急性心不全となり死亡する可能性もあるなど、とにかく恐ろしい疾患です。

また、大動脈解離については、最初に胸が痛むという症状とは限らず、他の部位が痛むことがあるので注意が必要なのです。

もう1点、急性肺血栓塞栓症という疾患があります。エコノミークラス症候群ともいわれます。

肺動脈の血液が詰まり、血栓ができます。9割以上は脚にできるのですが、約8割以上に胸の痛みが起こり、同時に呼吸困難も伴います。

発症のしかたは突然で、手術後などの臨床状態(入院患者)や、長時間のフライト、車内生活など、長時間同じ姿勢をとっていた場合に多く見られます。

入院中の場合、外科手術を受けた方のほか、救急治療室に入るような重症な内科疾患があった患者や、がん患者でもこの症状を発症するリスクが高いといわれています。